京都迎賓館ガイドツアー 桐の間 藤の間 夕映の間 和舟が浮かぶ回遊庭園

京都迎賓館 庭園 旅行

京都迎賓館ガイドツアーに参加してきました。桐の間、藤の間、夕映の間、和舟が浮かぶ池泉回遊式庭園など素晴らしい日本の伝統文化や技術は贅沢の極み!国賓になった気分で鑑賞できます。ネットで事前予約も可能なので、京都観光の1つにぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

京都迎賓館

京都迎賓館

京都迎賓館は海外からの要人や賓客をもてなすため、2005年に開館した国の施設で、2016年より一般公開されています。「現代和風の創造」をテーマに設計された建物は、日本の伝統と現代の建築技術を併せ持ち、館内には匠の技が活かされた様々な調度品が展示されています。

数寄屋造りの外観、美しい池泉回遊式庭園、日本の伝統技能が活かされた室内装飾など見どころ満載で、日本の美意識を多彩に取り入れた贅沢な空間に圧倒されます。

京都迎賓館ガイドツアーは約95分、料金は2000円、1日計9回開催。中学生以上から入館できます。ガイドツアーは事前申し込みが必要ですが、空きがある回は当日整理券で入館できます。

京都迎賓館 桐の間

京都迎賓館 桐の間

京都迎賓館 桐の間は、京料理でおもてなしする「和の晩餐室」。釘隠しや襖の唐紙などに「五七の桐」という日本国政府の紋章が使用されています。昔、皇室の裏紋だった「五七の桐」は、京都迎賓館の紋章でもあります。桐の間の由来は、主要な装飾モチーフに「五七の桐」が使われているからだそうです。

五七の桐の座椅子

「五七の桐」が描かれた座椅子

座椅子の背の部分に施されているのは「五七の桐」の「蒔絵(まきえ)」。桐の葉の色はそれぞれ微妙に異なり、同じ模様は一つもないそうです。

襖の桐紋

京都迎賓館 襖の桐紋

襖には、白地の唐紙(からかみ)に白い雲母(きら)の桐紋が入っています。宴の際、芸妓や舞妓による舞や箏の演奏が行われる「次の間」もあります。

京都迎賓館 桐の間

全長12メートルのテーブルは、漆黒の漆塗り一枚仕上げ。正座に慣れない方にも安心の掘り炬燵式です。黒いテーブルは美しい掛け軸や天井の意匠を鏡のように映し出し、雅な雰囲気を引き立てています。

中継ぎ表

京都迎賓館 中継ぎ表

「桐の間」の畳の中央には筋目が入っているのは、「中継ぎ表(なかつぎおもて)」という昔ながらの伝統技法で織り上げられているためです。通常は1枚の畳表に約4,000本のイグサを使用しますが、イグサの良質な部分だけを厳選した「中継ぎ表」は約10,000本のイグサが使用されています。室内には「中継ぎ表」の工程や見本などが展示されています。

掛け軸

京都迎賓館 桐の間 掛け軸

桐の間には、西陣織『源氏物語』の掛軸が展示されています。爪掻本綴織(つめかきほんつづれおり)という伝統技法で織りあげた掛軸は、絵と見間違えるような精巧さ。75色もの色糸で立体的に表現されているのは、御簾(みす)に佇む紫式部です。

浪ニ彩桧扇

几帳 紫裾濃

京都迎賓館 桐の間に展示されている紫裾濃(むらさきすそご)「浪ニ彩桧扇」(なみにさいひおうぎ)は、人間国宝 喜多川俵二(きたがわひょうじ)による几帳です。紫裾濃とは染色の一種で、紫色で上は薄く下にいくほど濃くなるように染めたものだそうです。

几帳 紫裾濃 浪ニ彩桧扇

優しい色合いの檜扇の文様が、色糸で織りなす匠の技を伝えます。

色絵鳳凰吊り香炉

色絵鳳凰吊り香炉

色絵鳳凰吊り香炉(いろえほうおうつりこうろ)は、清水焼の色絵付けで鳳凰が舞う華やかな文様が表示されています。

天井

京都迎賓館 桐の間 天井

吉野杉の一枚板を使用した美しい天井。樹齢約260年、高さ48メートルの大木の最も美しい部分を天井材として使用しているそうです。

京都迎賓館 桐の間

桐の間から眺める窓枠で切り取られた風景は、額縁効果で日本庭園の美しさを際立てています。

京都迎賓館 藤の間

京都迎賓館 藤の間

京都迎賓館 藤の間は、洋食の晩餐会や歓迎式典の会場として使用されている大広間。壁面装飾「麗花」に描かれている藤の花言葉「歓迎」に、おもてなしの心が込められています。

つづれ織り「麗花」

京都迎賓館 藤の間

「麗花(れいか)」は、日本画家・鹿見喜陌(しかみ きよみち)の下絵をもとに、綴れ織(つづれ織り)の技法で織られた織物で、39種類の日本の草花が織り込まれています。染め糸は約400種、濃淡のぼかし色を含めると約1,000色も使用されている大作です。

藤の間の絨毯

京都迎賓館 藤の間 絨毯

床に敷かれた緞通は、「麗花」に描かれた「藤の花」が舞い散った様子を表現しているそうです。物語性のある演出に日本の美意識を感じます。

格子光天井

京都迎賓館 藤の間 格子光天井

「格子光天井」という天井の照明には、本美濃紙と京指物の伝統的技能が使われています。「和凧」の連凧に似た3段の笠は、高さが調節でき、様々なパターンに変化するそうです。

京都迎賓館 藤の間 行灯

「京指物」の技法で組まれた天井照明や回廊の行灯。「指物」とは、釘などを一切使わず、木と木を組み立てて作る伝統的技法です。折り紙をイメージしたデザインの行灯には、美濃和紙が使用されています。

京都迎賓館 藤の間

藤の間のテーブルセッティングは、「櫛の歯」の形にテーブルを並べた宮中晩餐方式。

京都迎賓館 藤の間 テーブルセッティング

テーブルに並べられた食器やカトラリーの1つ1つに、京都迎賓館の紋章「五七の桐」が刻まれています。

京都迎賓館 カトラリー

截金(きりかね)

京都迎賓館 藤の間 舞台

截金(きりかね)の舞台扉「響流光韻(こうるこういん)」は、人間国宝・江里佐代子の作品。舞台では、舞や能、箏(こと)の演奏、雅楽などの伝統文化が披露されるそうです。

京都迎賓館 藤の間 響流光韻

截金に透き漆を施した截金透塗(きりかねすかしぬり)という新しい表現技法により、
時を経るごとに漆が透け、截金が美しく浮かび上がってくるのだそうです。藤の間には、江里佐代子による文箱(ふばこ)や飾り台も展示されています。

京都迎賓館 夕映の間

京都迎賓館 夕映えの間

夕映の間は、広さ約230平方メートルの大広間で、大臣会合などの会議や立礼式(りゅうれいしき)のおもてなし、晩餐会の待合として使用されています。

東西の壁面を飾るのは、「比叡月映(ひえいげつえい)」、「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」という綴織りの織物で、日本画家・箱崎睦昌(はこざきむつまさ)の下絵をもとに織られたものです。

左側の作品が京都の東にそびえる比叡山を月が照らす様を描いた「比叡月映」、右側の作品が京都の西に連なる愛宕山に夕日が沈む様を描いた「愛宕夕照」です。

京都の東西の山を表現する綴織りは、縦2.3m、横8.6mの大作で、「夕映の間」という名前は、「比叡月映」と「愛宕夕照」の作品の一文字ずつをとって付けられたそうです。

比叡月映

比叡月映

愛宕夕照

愛宕夕照

夕映の間は青磁色の優美な色調。床に敷き詰められた緞通(だんつう)は、水面に雲が映りこんでいる情景が表現されています。

京都迎賓館 夕映えの間

色絵雪花墨色墨はじき桜文花瓶

色絵雪花墨色墨はじき桜文花瓶

夕映の間にある「色絵雪花墨色墨はじき桜文花瓶」は、14代今泉今右衛門の作品。「雪花(せっか)墨はじき」とは、江戸時代から続く白抜きの技法「墨はじき」を発展させた14代独自の表現技法で、美しい花模様が色鮮やかに浮かびあがります。

飾り台

京都迎賓館 夕映えの間 飾り台

飾り台の「蒔絵(まきえ)」・「螺鈿(らでん)」は、山紫水明(さんしすいめい)をテーマにした、人間国宝・北村昭斎(きたむらしょうさい)と息子の北村繁(きたむら しげる)による作品です。

回廊から眺める庭園

京都迎賓館 夕映えの間

池の砂利を表現しているという緞通の白線の中の点々。回廊から眺める庭園は緞通と一体化しさらに奥行きが広がります。

京都迎賓館の回廊

京都迎賓館の回廊の床板には「WPC加工」という特殊な加工が施されています。そのため、賓客の方々がハイヒールで歩かれても傷がつきにくくなっているそうです。

京都迎賓館 聚楽の間

京都迎賓館 聚楽の間

京都迎賓館 聚楽の間は、晩餐会や大臣会合などが行われる際、ゲストの控室や随行員の待合などに利用されています。寄り集まるという意味を持つ「聚」という言葉に、心が安らかで楽しいことが集まる場所という思いが込められています。

西陣織の安楽椅子

京都迎賓館 聚楽の間 安楽椅子

蝋燭によって照らされた「聚楽の間」には、西陣織の安楽椅子が並んでいます。蝋燭の灯りに照らされた空間に、鮮やかな赤色が華やかさを演出しています。西陣織の安楽椅子は、鉄や釘を一切使わない「京指物」の技法が用いられています。

暈繝段文

京都迎賓館 聚楽の間 暈繝段文

聚楽の間に展示されている額装は「暈繝段文」(うんげんだんもん)。青金や赤金などの本金箔や本金糸、36色の色糸を駆使して製作された作品は、神々しい霊峰の彼方から陽の出る様を表しています。

竹工芸の花籃と飾り台

京都迎賓館 聚楽の間 花籠

接遇の際、生け花をしつらえる竹工芸の花籃(はなかご)は、人間国宝・5代 早川尚古齋(はやかわしょうこさい)の作品です。

釘隠

京都迎賓館 聚楽の間 釘隠

「千代結び」に人と人との結びつきや平和への願いが込められた「錺金物(かざりかなもの)」。「錺金物」とは、「釘隠(くぎかくし)」として用いられている金具で、建築の補強と装飾を兼ねています。

京都迎賓館では、調度品など約600か所に錺金物が使われ、古くから錺金物の技術が発達してきた京都の職人技を堪能することができます。

京都迎賓館の聚楽壁(じゅらくへき)は、のりを使わない「水捏(みずごね)」が使われています。聚楽壁とは日本の伝統的な土壁で、耐火性に優れ、年月を経過しても変わらない独特の風合いがあります。

京都迎賓館 庭園

京都迎賓館 池泉回遊式庭園

京都迎賓館の庭園は御苑の緑を借景とした池泉回遊式で、庭と建物が融合する「庭屋一如(ていおくいちにょ)」という思想が取り入れられているそうです。広大な池を中心に、まわりの建物と融け合いながら、四季折々に異なる表情を見せる庭園から、人も自然も同じだという日本人の精神が伝わってきます。

京都迎賓館 庭園

京都迎賓館の庭園の石材には再利用しているものが多く、池にある円柱形の石は、豊臣秀吉の時代に、鴨川に架かる旧五条橋(現在の松原橋)の橋脚に使用されていたもので、「天正17年8月」と彫られています。

池に植えられた植物は、1年中緑色をしている「ネビキグサ」。「稲穂の国」日本の原風景・田園をイメージしています。

廊橋

京都迎賓館 廊橋

京都迎賓館の東西の建物をつなぐのは、開放感のある屋根付き橋「廊橋」。廊橋を境に池の水深が変わり、島の配された「海」の部分と、ネビキグサのある「水田」の部分に分かれています。海外から賓客の方々がいらっしゃると、廊橋の中央部分から鯉の餌やりを楽まれるそうです。

京都迎賓館 庭園 錦鯉

池には色鮮やかな錦鯉が泳いでいます。海外から賓客の方々がいらっしゃると、廊橋の中央部分から鯉の餌やりを楽まれるそうです。

透かし彫り

京都迎賓館 透かし彫り

廊橋の天井は、船底を逆さにしたような「船底天井」で、四隅にはトンボや蝶など昆虫の透かし彫りが施されています。可愛いモチーフから京職人の遊び心が伝わってきます。

和舟

京都迎賓館 和船

和舟は全長5.1メートル、主な材質はコウヤマキで、腰掛部分などの内装にはヒノキが使われています。海外から賓客が訪れる際に、日本の文化「舟遊び」を楽しんでいただくそうです。

京都迎賓館 和船

京都迎賓館の正面玄関

京都迎賓館 正面玄関

正面玄関の扉は、樹齢700年の欅の一枚板が使われています。

京都迎賓館前庭

京都迎賓館の前庭は石畳の庭で、約2,800枚の徳山石が敷き詰められています。表面は、職人さんが1つずつノミで削る「ノミ切り仕上げ」です。

京都迎賓館 清和院

京都迎賓館 清和院

清和院休憩所は、京都迎賓館ガイドツアーの集合場所で、参観受付・入館券の購入・手荷物預かり・参観についての説明などが行われます。

京都迎賓館 清和院休憩所

清和院休憩所内には、京都迎賓館記念品の販売所もあり、扇子、バッグ、クリアーファイルなどのお土産を購入することができます。無料休憩所なので、ガイドツアーに参加しなくても利用できます。

京都迎賓館 清和院休憩所
営業時間: 9:30 ~16:30
参観受付: 9:30 ~ 15:30
閉館日:水曜日

京都迎賓館ガイドツアー

京都迎賓館 ガイドツアー

京都迎賓館のガイドツアーでは、スタッフの方が参加者と一緒に回りながら、見どころを丁寧に説明して下さいます。各自イヤホンを付けて、スタッフの方の説明を聞くシステムなので、わかりやすいです。ガイドツアー中は自由に質問もでき、写真撮影も可能です。

ガイドツアーの開始前に、京都の伝統文化を学ぶビデオが流され、数寄屋大工や左官の技、截金、西陣織、蒔絵、漆など工芸技術を知識を得ることができます。

京都迎賓館は国賓をもてなす施設だけに、建物から調度品にいたるまで、すべてが最高級品!まるで美術館を訪れたみたいでした。今回、ガイドツアーに参加し、日本が誇る伝統文化をもっともっと知りたくなりました。

次回はワンランク上のプレミアムガイドツアーや夜間延長公開に参加して、和の素晴らしさをさらに堪能したいと思います。

京都迎賓館の基本情報

京都迎賓館(きょうとげいひんかん)
住所:京都府 京都市上京区京都御苑23
電話:075-223-2205
開門時間:10:00~17:00 (15:50受付終了)
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)※変更あり
料金:自由参観/大人 1,500円、大学生 1,000円、中高生 500円
ガイドツアー/大人 2,000円、大学生 1,500円、中高生 700円
駐車場: 有料(京都御苑内)
アクセス
●市バス「府立医大病院前」バス停下車 徒歩約7分
●烏丸線「今出川」駅下車、3番出口より徒歩約15分
●京阪電鉄「出町柳」駅下車、3番出口より徒歩約20分
公式サイト: https://www.geihinkan.go.jp/kyoto/

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最後に

京都迎賓館は、国賓をおもてなしする贅沢な場所。桐の間、藤の間、夕映の間、池泉回遊式庭園など見どころ満載です。日本の伝統文化の素晴らしさを体感できるガイドツアーに、ぜひ一度参加されてみてはいかがでしょうか。

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