京都・宇治にある平等院は源氏物語ゆかりの場所で、周辺には朝霧橋や宇治十帖のモニュメントなど人気観光スポットが点在しています。今回は平等院鳳凰堂を中心に古典文学の聖地をご紹介します。
平等院 源氏物語ゆかりの地
京都・宇治にある平等院は、源氏物語の主人公「光源氏」のモデルといわれる源融(みなもとのとおる)の山荘でしたが、藤原道長(ふじわらのみちなが〉が譲り受け、1052年に藤原頼通(ふじわらのよりみち)が父の別荘を寺院に改め平等院と命名しました。
平等院は、極楽浄土をこの世に再現するために造られたと言われており、世界遺産に登録されています。王朝文化の栄華を今に伝える平等院鳳凰堂は、修復工事の際、当時と同じ塗料で平安時代の色彩を再現し、1000年の歴史を超えてタイムスリップできる貴重な場所となっています。
平等院鳳凰堂
平等院鳳凰堂は、鳳凰が羽を広げたように見えることから「鳳凰堂」と呼ばれるようになったそうです。水面に映る鮮やかな朱色の建物は、まさに池に浮かぶ極楽浄土!その美しい姿に圧倒されます。
極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまえ
「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまへ」(後拾遺往生伝)は、「もし極楽浄土が疑わしいというのならば宇治の平等院へ行きなさい」と言う意味ですが、色鮮やかに復元された平等院鳳凰堂から、当時の極楽浄土のイメージがありありと伝わってきます。
平安時代は、金箔、螺鈿、宝石、そして極彩色で装飾されていたという平等院鳳凰堂の堂内。現在はほとんどが剥落してしまっていますが、かつての名残を留める壁面の一部を見学することができます。堂内はの拝観は別料金ですが、ガイドさんが詳しく解説して下さるので価値ある体験ができます。
平等院ミュージアム鳳翔館
「平等院ミュージアム鳳翔館」は国宝の鳳凰、梵鐘(ぼんしょう)、雲中供養菩薩(くうちゅうくようぼさつぞう)、重要文化財の観音菩薩像(かんのんぼさつぞう)などが展示されている宝物館です。また、コンピューターグラフィックスによる復元映像展示や超高精細画像による映像展示もあり見応えがあります。
10円玉の絵柄
平等院鳳凰堂の建物は10円玉の絵柄に刻まれていますが、鳳凰は中国の伝説上の鳥で、前半身が麒麟(きりん)、後半身は鹿、くびは蛇、尾は魚、背は亀、あごはつばめ、くちばしは鶏に似ている瑞鳥(ずいちょう)というおめでたい鳥だと言われています。
1万円札の絵柄
平等院鳳凰堂の鳳凰は、1万円札(裏)の絵柄にも描かれています。さらに、2千円札(裏)には宇治ゆかりの「源氏物語絵巻」と「紫式部日記絵巻」が描かれています。日本のお金と宇治は切っても切れない深い縁があるようです。
京都 源氏物語の聖地
源氏物語の聖地・宇治は京都市内から電車で約40分。平等院をはじめ、紫式部の像や「宇治十帖のモニュメント」など人気の観光スポットがたくさんあります。
源氏物語 宇治十帖
源氏物語は光源氏を中心とした54帖からなる平安貴族の小説で、「橋姫(45帖)」から「夢浮橋(54帖)」までの十帖は、宇治を舞台としていることから「宇治十帖」と呼ばれています。
「宇治十帖」の主人公は、源氏の息子・薫(かおる)と、源氏の孫・匂宮(におうのみや)の二人。「自分の本当の父親は源氏なのだろうか?」と悩んでいる薫は、どこか影のある美男子、一方、匂宮は明るく社交的な美青年ですが、薫のことをライバル視しています。
「宇治十帖」には薫と匂宮の二人から愛される浮舟の苦悩が描かれていますが、宇治川の朝霧橋のたもとには、ヒロイン浮舟と匂宮が小舟の上で語りあう場面をモチーフにした「宇治十帖のモニュメント」という石像があります。
朝霧橋
朝霧橋(あさぎりばし)は、長さ74mに及ぶ色鮮やかな朱塗りの橋。宇治神社のある西岸と、宇治川の中州に浮かぶ橘島・塔の島を結び、平等院のある東岸へ渡ることができます。宇治ならではの情緒あふれる光景は絶好の撮影スポットとなっています。
宇治川の中州である「中の島」には朝霧橋のほか、西岸と塔の島を結ぶ喜撰橋(きせんばし)、西岸と橘島を結ぶ橘橋 (たちばなばし) 、合わせて三本の橋があります。
宇治川
宇治川は、長さ155.4m、幅25mの琵琶湖から流れ出る一級河川で、京都から大阪に流れていくと淀川と呼称が変わります。
宇治神社
宇治神社は朝霧橋の前にある神社で、本殿は鎌倉時代初期に建てられた本殿は、国の重要文化財に指定されています。境内にはうさぎの置物が点在し、特に「みかえり兎」が人気です。また、学問の神様としても有名で、毎年11月ごろに設置される「智恵の輪」はパワースポットとなっています。隣接する宇治上神社は宇治神社と対をなす神社です。
宇治上神社
宇治上神社(うじがみじんじゃ)の本殿は平安時代後期に建てられたもの。現存する日本最古の神社で、国宝に指定されています。菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)、応神天皇(おうじんてんのう)、仁徳天皇(にんとくてんのう)が祀られています。
宇治七名水
お茶の町宇治にはいたる所に名水が湧き出し、宇治茶が栄えた室町時代には、宇治七名園が作られ、特に「桐原水(きりはらすい)」「公文水(くもんすい)」「法華水(ほっけすい)」「阿弥陀水(あみだすい)」「百夜月井(ももよづきい)」「泉殿(いずみどの)」は「宇治七名水(うじしちめいすい)」と呼ばれていました。
現在ほとんどの名水は失われてしまいましたが、宇治上神社境内にある桐原水だけは今も枯れることなく湧き出しています。
源氏物語ミュージアム
「源氏物語ミュージアム」は、京都府宇治市にある公立博物館で、実物大の牛車や平安時代の調度品のレプリカ、六条院のジオラマなどが展示されています。源氏物語に関する資料も数多く展示され、映像シアターや体験コーナーもあります。
館内には日本茶カフェ『雲上茶寮』が併設され、源氏物語をイメージしたスイーツメニューや、宇治十帖の登場人物を想起させるイマジナリーティーなどをいただくことができます。また、源氏物語をモチーフにしたグッズなどが揃う売店もあります。
カフェと売店は無料エリアにあるので、源氏物語ミュージアムに入館しなくても利用できます。
平等院の表参道
平等院の表参道は、お茶の香りが漂う風情ある通りで、名物の宇治茶を楽しめるお茶屋さん、食べ歩きグルメ・スイーツのお店、京都ならではの雑貨屋さんなど様々なお店が並んでいます。宇治茶を使ったメニューには、定番の抹茶ソフトクリームや宇治金時のほか、抹茶たこ焼き、抹茶コロッケなどユニークなものもたくさんあります。
関連記事:宇治の食べ歩きグルメ 抹茶コロッケ 宇治橋通商店街「お肉の店はりよし」
宇治駅の郵便ポスト
宇治駅前にはユニークな茶壺型の郵便ポストがあります。ポストの前で写真撮影をしたり、旅の絵葉書を投函したり、宇治観光のいい思い出になりそうです。
平等院の基本情報
平等院
住所: 京都府宇治市宇治蓮華116
電話: 0774-21-2861
拝観料:大人 600円(鳳翔館入館含む)
※鳳凰堂内部拝観料 300円
定休日:年中無休
アクセス:JR「宇治駅」徒歩10分、京阪電鉄「宇治駅」徒歩10分
公式サイト: http://www.byodoin.or.jp/
※詳細は公式サイトでご確認ください。
最後に
日本を代表するお茶の町、宇治には平等院をはじめ、朝霧橋、宇治神社、宇治上神社など見どころ満載。『源氏物語』ファンならずとも一度は行きたい「宇治十帖」ゆかりの地へ、ぜひ一度お出かけになってみてはいかがでしょうか。
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