酒井駒子の絵本おすすめリスト 心にそっと寄り添う静謐な世界

酒井駒子 bとiとrとd 読書

『よるくま』や『金曜日の砂糖ちゃん』など、絵本作家・酒井駒子さんが描く子どものふとした仕草や表情の愛おしさに魅了される方も多いでしょう。繊細な感性で描き出す数ある作品の中から、酒井さんが絵と文を手がけた自作絵本、挿画、赤ちゃん向けの絵本などジャンル別におすすめの本をご紹介します。

酒井駒子のおすすめ絵本

子どもから大人まで、多くの人を魅了する酒井駒子さんの絵本。黒をベースに描く独特の画法は繊細で美しく、初の個展『みみをすますように』も大人気です。『よるくま』や『金曜日の砂糖ちゃん』など数多くの作品の中から、今回は絵と文をともに手がけた自作絵本、赤ちゃん絵本、日本や海外の作家のお話に寄せた挿絵と3つのジャンルに分けて、おすすめの本を選びました。

まず、酒井駒子さんが絵と文をともに手がけた絵本をご紹介します。

よるくま

絵本『よるくま』は酒井駒子さんの代表作とも言える作品で、子どもがお母さんを思う気持ちがギュッと詰まった素敵な夜のファンタジーです。

真っ黒で、胸だけ白く光る子熊「よるくま」。ある夜、ぼくのもとへやってきて、一緒にお母さんを探しに出かけます・・・。

だいてみたら、かわいかった。
そのこは、よるくまと いうなまえ。

『よるくま』より


よるくま

よるくまクリスマスのまえのよる

絵本『よるくまクリスマスのまえのよる』は『よるくま』の続編。男の子と「よるくま」の不思議な冒険を描いたクリスマスイブの夜のお話です。

サンタさんは「いいこ」にしか来ない・・・。不安な夜を過ごすぼくのところに「よるくま」がやってきます。だけど、「よるくま」はサンタさんを知らないって言うのです。

「おかしいな、クマの子にはサンタさん、こないのかな」・・・。

酒井駒子さんの繊細な感性で描く、よるくまとぼくの素敵な時間。そこには優しさと温かさが溢れています。


よるくまクリスマスのまえのよる

よるくまは子どもの熊なのですが、子熊は形が人間の子どもみたいだなあと思うのです。頭と体のバランス、お尻がちょっと出ている感じ。そんなイメージからよるくまは生まれました。
『MOE (モエ) 2021年5月号 (酒井駒子 みみをすますように )』より

よるくまのぬいぐるみ



ドイツの老舗ぬいぐるみメーカー「シュタイフ」社から「よるくま」のぬいぐるみも出ています。酒井駒子さんと「シュタイフ」とのコラボレーション「よるくま×シュタイフ ぬいぐるみ」! 1体1体手作りで制作された、特別なテディベアです。

リコちゃんのおうち

『リコちゃんのおうち』は酒井駒子さんのデビュー作。色彩豊かな絵本は、黒をベースにした独特の画法とはイメージが違います。女の子が人形たちの家を作ってごっこ遊びをする可愛いお話は、酒井駒子さんご自身の子どもの頃の思い出がモチーフになっているそうです。

リコちゃんが、箱や椅子を使って人形たちの家を作って遊んでいます。そこに入ってきて邪魔をするお兄ちゃん・・・。

子どものよくある光景を丁寧に描く素敵な絵本です。あるインタビューで、「何でもない日常のエピソードや断片が、頭や心の中にバラバラにあって、あるときふっとそれがつながってお話になっていくような感じです」と語っていらした酒井駒子さん。

何でもない日常の記憶のかけらが、時間をかけてお話となり、絵となって、絵本という作品になっていく・・・。初期の作品は現在の作品とずいぶん違いますが、お話が生まれる過程は同じなのですね。


リコちゃんのおうち

ぼく おかあさんのこと

絵本『ぼく おかあさんのこと…』は子ども心のリアルな表現が秀逸な心温まるお話。黒をベースに絵を描く独特の画風はこの絵本が始まりで、酒井駒子さんがあとさき塾という絵本塾に通っていた頃に作ったお話をもとに描いたそうです。

「ぼく、おかあさんのこと・・・キライ!」

小さいうさぎの男の子が、お母さんに不満をぶつけます。ねぼすけだし、マンガ見せてくれないし、早くしなさいってすぐ怒るし・・・。それに、「ぼく」が大きくなっても、「ぼく」とは結婚できないって!!

ほんとうはお母さんのことが大好きなのに、時々すねちゃう男の子。複雑な子ども心が繊細な感性で描かれた絵本です。擬人化したうさぎの仕草や表情も愛らしい。『ぼく おかあさんのこと…』は、フランスのPITCHOU賞とオランダの銀の石筆賞を受賞した作品です。


ぼく おかあさんのこと…

ロンパーちゃんとふうせん

絵本『ロンパーちゃんとふうせん』は、黄色い風船と友だちみたいになかよく遊ぶ女の子のお話です。ふっくらほっぺのロンパーちゃん。風船を持つ可愛い仕草がたまりません。

黄色い風船が飛ばないように、スプーンをつけてもらったロンパーちゃん。風船に花のかんむりを作ってあげたり、お庭でままごとをしたりして一緒に遊びます・・・。

酒井駒子さんの絵本は、大人にとって、子ども時代の記憶が蘇ってくるノスタルジックな世界が魅力です。そして、子どもは絵本の主人公に自分の思いを重ねてお話を聞くでしょう。

酒井駒子さんの絵本は世界各国で翻訳されていますが、ロンパーちゃんの名前は英語版では「エミリー」、フランス語版では「あきこ」、ブラジル版では「リーナ」だそうです。なぜ名前を変えたのかは謎ですが、何だかお国柄が感じられて面白いですね。


ロンパーちゃんとふうせん

ゆきがやんだら

絵本『ゆきがやんだら』は、雪の日のワクワク感と、いつもとは違う特別な時間を描いた作品。雪の日に感じる子どもの高揚感を静謐な絵と文で静かに描き出します。

朝起きると外は真っ白。園はお休みで、帰ってくるはずのお父さんの飛行機は止まったまま。ベランダから見た外の景色は美しい銀世界。

「ぼくと ママしか いないみたい、せかいで」

夜になると、雪がやんでいます。ほんとうはもう寝る時間だけど、ちょっとだけママと外へ・・・。男の子をやさしく見守るママが素敵です。『ゆきがやんだら』は、オランダの銀の石筆賞を受賞した作品です。


ゆきがやんだら (学研おはなし絵本)

はんなちゃんがめをさましたら

絵本『はんなちゃんがめをさましたら』は、夜中に目を覚ました女の子と猫のチロがひそやかで夢のような時間を過ごすお話です。

夜、ひとり目を覚まし起き上がったはんなちゃん。おねえさんも、おかあさんもおとうさんもみんな眠っています。真夜中の青いようで、まだ暗い空の色。ひとり目覚めてしまったときの青い時間・・・。小さな女の子のちょっとした冒険が、子どもの頃の記憶と重なります。子どもははんなちゃんを自分だと思いながら聞いているかもしれませんね。


はんなちゃんがめをさましたら

酒井駒子の赤ちゃん絵本

『こりゃ まてまて』と『すやすや おやすみ』は、酒井駒子さんの赤ちゃん向けの絵本。福音館書店「こどものとも0.1.2.」シリーズの絵本が単行本になりました。

黒をベースにした酒井駒子さんの絵は大人っぽい雰囲気がありますが、実は赤ちゃんの絵本にもぴったり。控えめな色彩が可愛い子どもの表情を引き立てます。

こりゃ まてまて

絵本『こりゃ まてまて』は、よちよち歩きの赤ちゃんが主人公。散歩の途中、ちょうちょ、トカゲ、ハト、ネコを次々と追いかけます。繰り返しが楽しい中脇初枝さんのお話に酒井駒子さんが絵を寄せた愛らしい作品です。

「こりゃ まてまて」と追いかける赤ちゃんのまあるい体のフォルムとやわらかい髪。歩き始めたばかりの子どもの可愛さが、繊細な筆使いで余すところなく描き出されています。最後に登場する赤ちゃんを肩車している誰かさんの後ろ姿も素敵です。


こりゃ まてまて (0.1.2.えほん)

すやすや おやすみ

絵本『すやすやおやすみ』は、大好きなくまのぬいぐるみと一緒に眠る愛らしい女の子のお話です。石津ちひろさんのお話に、酒井駒子さんが絵を寄せています。赤ちゃんの可愛い寝息が聞こえてきそう。

まあるくなって すやすや おやすみ
おめめを つむって すやすや おやすみ

ひらひらとんでる ちょうちょさん、みゃあみゃあ鳴いている子猫ちゃん、りんごやおもちゃも、みんな「すやすや おやすみ」・・・。静かな眠りに誘ってくれる「おやすみなさい」の本。赤ちゃんや動物たちの可愛い寝息が聞こえてきそうな一冊です。


すやすや おやすみ (0.1.2.えほん)

酒井駒子の挿絵

酒井駒子さんは、絵やストーリーのほか、挿絵も手掛けています。日本や海外の作家に絵を寄せた数々の絵本をご紹介します。黒の下地にガッシュで描く独特な画風が、それぞれの作品の魅力を引き立てます。

きつねのかみさま

絵本『きつねのかみさま』は、あまんきみこさんのお話と酒井駒子さんの絵が見事に溶け合った優しさあふれる絵本です。

公園になわとびを置き忘れたりえちゃんと弟。二人が戻ってみると、きつねたちが楽しそうになわとびで遊んでいます。なわとびの持ち手には、“りえ”と名前が書いてあります。でも、きつねの子は神様がくれたというのです・・・。

「おおなみ こなみ ぐるっとまわって きつねのめ」・・・お互いを思いやる優しい気持ちが伝わる作品。『きつねのかみさま』は、第9回日本絵本賞を受賞しています。


きつねのかみさま (絵本・いつでもいっしょ)

赤い蝋燭と人魚

絵本『赤い蝋燭と人魚』は小川未明の童話に酒井駒子さんが挿絵を手がけた美しい作品です。蠟燭屋の夫婦に育てられた人魚の娘がたどる悲しい運命・・・。「日本のアンデルセン」と呼ばれる小川未明の名作を、酒井駒子さんが極上の美しさに仕上げた作品です。

人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。
北の海にも棲んでいたのであります。

『赤い蝋燭と人魚』より


赤い蝋燭と人魚

ビロードのうさぎ

絵本『ビロードのうさぎ』は、酒井駒子さんが絵と翻訳を手がけた作品。ロンドン生まれの作家、マージェリィ・W・ビアンコによる100年以上前の古典的名作を、繊細で美しい絵と文で見事に表現しています。

ぼうやが大切に遊んでいたぬいぐるみのうさぎ。ある日捨てられて絶望しますが、やがて奇跡が起きるのです・・・。酒井駒子さんの絵は、愛らしくせつない物語にぴったり。リアルな質感のビロードのうさぎが、今にも動き出しそうです。

子どもべやのまほうで じぶんは ほんとうのうさぎに なったんだからと、
ちいさなうさぎは おもっていました。

『ビロードのうさぎ』より


ビロードのうさぎ

しろうさぎとりんごの木

絵本『しろうさぎとりんごの木』は、石井睦美さんのお話に酒井駒子さんが絵を付けた作品。8年前から東京の家と山の家を行き来して暮らす酒井駒子さんが、森のアトリエで描いた最初の絵本だそうです。りんごの木の下で幸せに暮らすしろうさぎの女の子の物語は家族愛に溢れています。

でも、なんにも しんぱいはいりません。
このいえには、しろうさぎにひつようなものは
ぜんぶそろっているからです。
だいすきなおかあさんもおとうさんも、あかいクレヨンも。

『しろうさぎとりんごの木』より


しろうさぎとりんごの木

くまとやまねこ

絵本『くまとやまねこ』は、大切なものを失う悲しさを描いた作品。酒井駒子さんのモノクローム・タッチの絵と湯本香樹実さんの優しくてせつない物語が見事にマッチしています。『くまとやまねこ』は、第40回講談社出版文化賞受賞しています。

ぼくたち いつも きょうの朝 にいるんだ

ずっとずっと いっしょにね

『くまとやまねこ』より


くまとやまねこ

くさはら

絵本『くさはら』は、夢中で遊ぶ内に草はらの中にまぎれこんだ女の子の心の変化を描いた作品です。加藤幸子さんの素敵なお話の世界を、酒井駒子さんの繊細で美しい絵が巧みに表現しています。

ゆーちゃんは夢中でちょうちょを追いかけますが、いつのまにか見失ってしまいます。気が付けば草原にひとりぼっち。楽しい気持ちが一転して、心細さに変わります。

心細さを救ってくれたのはお母さんの声。大好きな人に包まれる安心感が伝わり、読む側もホッとします。そういえば、子どもの頃、同じ気持ちになったっけ・・・。子どもに読み聞かせながら、読み手の大人の心にも遠い記憶が蘇ってくるかもしれません。


くさはら (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)

ヨクネルとひな

絵本『ヨクネルとひな』は、ひなちゃんとやせっぽちのこねこの物語。最初は「かわいい方がいいのに」と不満げだった女の子の心の変化を映し出すLEEさん作のお話を、酒井駒子さんがみずみずしく描きます。

ひなちゃんが、まるで ちょうちょのはねに さわるように
そうっと なでてみると こねこは きもちよさそうにしていました。
『ヨクネルとひな』より

ぽわぽわしたちっちゃい子猫かっこかっこそうっと子猫を抱くひなちゃん・・・。頼りない命と、それを守ろうとする女の子のけなげさが優しく伝わる絵本です。


ヨクネルとひな

ねえさんといもうと

酒井駒子さんが絵と翻訳を手がけた絵本『ねえさんといもうと』。シャーロット・ゾロトウの名作を繊細な感性でとらえ独特のタッチで描きます。

ねえさんといつも一緒に遊んでいるいもうと。でも、ある日、ねえさんと離れて一人で出かけてしまいます。

なんでも知っているねえさんが、草むらで泣いている・・・。「ねえさんといもうと」の濃密で特別な関係をさらりと描いた作品。忘れていた感覚を呼び戻してくれるような静かで優しいお話です。


ねえさんといもうと

なきむしこぞう

絵本『なきむしこぞう』は、大切にしていたぬいぐるみたちが家出してしまうお話。男の子の「帰ってきて」という願いは届くのでしょうか・・・?今村葦子さんの短編小説のような作品を、酒井駒子さんが美しい絵童話に仕上げています。

子どもや動物たちの絵は思わず抱きしめたくなる愛らしさ。少し長いお話は、絵本から読み物へ移行する時期の子どもにぴったりです。

しずかな、なつの、ゆうがたでした。

ちいさな、いえのげんかんの、きいろいドアが、そーっとひらいて、ドアのしたのところで、なにかが、こっそりと、そとをのぞいていました。

いえのなかから、でてきたのは、ぬいぐるみの、ぞうと、きりんと、らいおんでした。

『なきむしこぞう』より


なきむしこぞう

梨の子ペリーナ

絵本『梨の子ペリーナ』はイタリアの昔話で、再話は「文学の魔術師」とも呼ばれるイタリアの国民的作家、イタロ・カルヴィーノ。翻訳はイタリア文学の翻訳家、関口英子さん。そして、絵はもちろん酒井駒子さんです。

「魔女の宝を持って帰るまで中に入れない」と王様に命令されたペリーナ。梨の木の上でぐっすり眠り、魔女の宝物を探しに出かけます。勇敢で優しいペリーナの冒険はやがてハッピーエンドを迎え、めでたしめでたし。

少女ペリーナが、様々な難関を乗り越えながら宝物を持ち帰るというシンプルなお話ですが、ユーモラスな雰囲気も持ち合わせ、大人でもいつのまにか夢中になります。心優しいペリーナの姿は愛らしく、何度も読み返したくなる美しい絵本です


梨の子ペリーナ: イタリアのむかしばなし (世界のむかしばなし絵本シリーズ)

「きかんぼのちいちゃいいもうと」シリーズ

『きかんぼのちいちゃいいもうと』イギリスの作家、ドロシー・エドワーズの幼年童話。翻訳は渡辺茂男さん、挿絵は酒井駒子さんです。やんちゃでわがままな「きかんぼ」の妹が巻き起こす様々なエピソードが愉快。きかんぼだけどにくめない妹の姿は、「これってわたしのこと?」と幼い子どもの共感を呼ぶでしょう。

「それは、あなたのお人形ではありません。おねえさんのものですよ。」
すると、きかんぼのちいちゃいいもうとは、「あたしがほしいの。」といいました。

『きかんぼのちいちゃいいもうと・ぐらぐらの歯』より

ありふれた日常のひとコマを生き生きと描くお話は、幼い子どもに寄り添う優しさに溢れています。


ぐらぐらの歯 (世界傑作童話シリーズ)


おとまり―きかんぼのちいちゃいいもうと〈その2〉 (世界傑作童話シリーズ)


いたずらハリー きかんぼのちいさいいもうと その3 (世界傑作童話シリーズ)

マルの背中

『マルの背中』は、両親の離婚によって弟の理央と離ればなれになり、母と二人で暮らす亜澄の物語。岩瀬成子さんのジュニア小説で、酒井駒子さんの繊細で美しい挿絵が女の子の寂しい思いを伝えます。

駄菓子屋の看板猫マルは、背中の丸い模様を撫でると願いがかなうと言われています。そんなマルを、突然、亜澄が預かることになります・・・。

「子供のころに、言葉にできなかったたくさんの気持ちが、言葉になって、ここにある。」と江國香織さんも絶賛された感動作です。


マルの背中

酒井駒子の画集

酒井駒子さんの画集『みみをすますように』や、繊細で美しいイラストが堪能できる短編集『金曜日の砂糖ちゃん』など、絵本以外の本をご紹介します。

金曜日の砂糖ちゃん

『金曜日の砂糖ちゃん』は酒井駒子さんの短編集で、表題作のほか、「草のオルガン」、「夜と夜のあいだに」の3つのお話が入っています。子どもたちの可愛いお話と思いきや、実は抽象的でちょっと怖い大人のための絵本です。

庭でぐっすりお昼寝をする砂糖ちゃん、音の出ないオルガンを見つける少年、触ってはいけない鏡台で髪をとかす女の子・・・。子どもが一人でいる時、そこには不思議な時間が流れていて、大人になると忘れているだけなのかもしれません。

あたたかで 気持ちのよい 午後です。
女の子が ひとり 眠っています。

『金曜日の砂糖ちゃん』より

優しい言葉の奥に秘められた孤独と悲しみ・・・。可愛いだけじゃない子どもの世界を幻想的に描いた『金曜日の砂糖ちゃん』。外国の絵本のような雰囲気の装丁も素敵です。

不思議な響きのタイトル・・・実は、チュニジアのおみやげの砂糖に書いてあった現地の言葉が「金曜日の砂糖」という意味だったそうです。「その言葉が楽しくて、自由にイメージをふくらませて絵本を描きました。」と、酒井駒子さんがあるインタビューで語っています。

『金曜日の砂糖ちゃん』は、2005年に、ブラチスラバ世界絵本原画展で金牌を受賞しています。


金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)

こうちゃん

『こうちゃん』は、須賀敦子さんが遺した小さな物語に酒井駒子さんが挿絵を寄せた作品。言葉のひとつひとつが輝きを放つ掌編に、静謐さをたたえた美しい絵がそっと寄り添います。

さびしがりやで泣き虫のこうちゃん・・・。無邪気に笑う男の子はいったい誰?最後までその答えはわからないのですが、ほんとうは誰の心の中にも「こうちゃん」という大切な存在が隠れているのかもしれません。

伝説のエッセイスト、須賀敦子さんと、唯一無二の絵本作家、酒井駒子さんの奇跡のコラボレーション!贅沢すぎる一冊です。


こうちゃん

BとIとRとD

酒井駒子さんの『BとIとRとD』は8つのショートストーリーで構成された大人のための絵本です。□ちゃんという不思議な名前の女の子に、子どもの頃の自分の姿を重ねる方も多いのではないでしょうか?

「主人公を□ちゃんとしたのは、特定の子どもの話ではなく、読んだ方がそれぞれ自分をあてはめて読んでもらえたら嬉しいと思いました。」と語る酒井駒子さん。

おもちゃ、機関車、睡蓮、カミナリなど、小さな女の子の目に映る世界を、黒を基調にしたコラージュで表現しています。本は装丁も素敵。大切な人に贈りたい一冊です。

女の子は、人差し指を立てると、
急に、「シイッ」っと、言いました。
そうして絵本のページを外に向けると一枚ずつめくって、見えない誰かに読んであげました。

『BとIとRとD』より


BとIとRとD (MOEのえほん)

森のノート

『森のノート』は酒井駒子さん初の画文集。月刊「ちくま」の表紙絵、森の家の日々を綴った文、描き下ろしの作品が収録されています。詩的な文章で綴られたささやかな暮らしの風景・・・。読んでいると、森林浴をしたようなすがすがしさを感じます。


森のノート (単行本)

まばたき

歌人の穂村弘さんと酒井駒子さんのコラボから生まれた絵本『まばたき』。時が止まる瞬間を描いた美しい絵は怖いくらいに迫力があります。

「しーん」「カチッ」「はっ」「ちゃぽん」「みつあみちゃん」・・・。たったこれだけの短い言葉にどれほど多くの思いがこめられているのでしょうか?

「ものごとが動き出す前のほんの一瞬、そこに永遠がある・・・」穂村弘さんが考えついたという秘密めいたテーマを、見事に描き切った酒井駒子さんの鋭い考察力と画力にただただ感動!

ちょうちょが飛び立つ、その瞬間。

鳩時計が12時を告げる、その瞬間。

猫が飛びかかる、その瞬間。

「まばたき」するほんの一瞬の変化を見事に掬い上げた作品から緊張感が漂います。

そして、最後の一枚にドキッ!「まばたき」するわずかな時間に「みつあみちゃん」が老婆に変わってしまうなんて・・・。でも、人生は儚いから美しいのかもしれません。

衝撃的なラストが心に残る『まばたき』は、大人にこそふさわしい秀逸絵本です。


まばたき (えほんのぼうけん67)

酒井駒子の雑誌

最後に、酒井駒子さんの特集が組まれた雑誌『MOE』と『Pooka+』をご紹介します。ファンにとってはたまらない『酒井駒子特集』完全保存版です。


酒井駒子 小さな世界 (Pooka+)


MOE (モエ) 2021年5月号 [雑誌] (酒井駒子 みみをすますように )

最後に

絵本も挿絵もエッセイも、酒井駒子さんの静謐さをたたえた作風に変わりはありません。ありふれた日々の出来事が、酒井マジックにかかったとたん、不思議な世界に変わります。子どもも大人も虜になる魅力あふれる酒井駒子の世界を、ぜひお楽しみください。

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